Without you

Nilsson / Schmilsson

Nilsson Schmilsson

さて、久しぶりに音楽ネタのエントリー。少し前のことだけど、いつものように出がけにiPhoneのミュージックをタップして、プレイリストからJazzを選び、シャッフルをタップしようとして、ふと気が変わり、プレイリストへ戻ってPopをタップ、続いてシャッフルをタップしたら、1曲目に聴こえてきたのが「Without you」だった(iTunesにはNilsson Schmilssonがなかったので試聴するなら「Without You – The Rules of Attraction (Music from the Motion Picture)」を)。

相変わらず古い楽曲ばかりをiPhoneに詰め込んでいるんだという指摘はスルーして、Harry Edward Nilsson III(1941年6月15日 – 1994年1月15日)が1971年にリリースした「Nilsson Schmilsson」に収録され、シングルヒットした「Without you」の話をしよう。

1972年2月13日から3月11日の4週間、全米シングルチャートで1位を記録。ビルボード年間チャート/1972ではシングルチャートで第4位を記録している。

「I can’t live」で始まるサビの部分を聴けば、だれもが聞いたことのある曲だと気がつくはず。もっとも、それはNilssonの楽曲ではなく、Mariah Careyのものかもしれないけれどね。

Mariah Carey / The Ones

Mariah Carey / The Ones

ちなみに、Mariah Careyのバージョンは、1994年1月24日(Nilssonの死去1週間後)にアルバム「Music Box – マライア・キャリー」から3枚目のシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートでは最高3位だったが、全英シングルチャートでは1位を記録した。アメリカ国外でのMariah Carey最大のヒット作となっている(上の画像はシングルチャート1位になった楽曲だけを収録したいわゆるベスト盤「#1′s – マライア・キャリー」)。

閑話休題、この楽曲の重要な部分は「And now it’s only fair that I should let you know  What you should know」の部分をどう受け止めるかということだろう。

同じような気持ち(fairかどうかじゃなくて、「I can’t live」の方)になったとして、それを「unfair」だと考えるかどうか?いや、意識として考えていなくとも、心のどこかでは知らしめたいと思っているかもしれない感情を「切ないもの」としてあきらめることができるかどうか?だろう。

もっとも、このWithout youはあきらめられずに「I can’t live」と声高らかに歌い上げちゃうわけで、それがヒットしたということは、Nilssonの7色の声やMariah Careyの7オクターブの声のおかげばかりではなく、この歌詞に歌われている心情的な部分にシンクロする人が多数いたということなんだろう。

ところで、Nilssonが1967年にリリースした「Pandemonium Shadow Show」を聴いたJohn Lennonが、Nilssonに国際電話をかけて「You are great!」と賞賛したというエピソードがあるが、「Without you」の原曲はThe BeatlesのApple Recordに在籍したBadfingerのアルバム「No Dice (Remastered) – バッドフィンガー」に収録されているものだということを知っているのは、亀の甲より年の功というやつか。

Badfinger / No Dice

Badfinger / No Dice

1972年というのは結構いろんなことが起きた年で、グアム島で元日本陸軍兵士横井庄一氏が発見され、札幌ではオリンピックが開催され、軽井沢では連合赤軍の浅間山荘龍城事件が、そしてアメリカではウォーターゲート事件が発覚している。

いまでは溢れかえっているコンビニの第1号店(セブンイレブン)ができたのもこの年だし、第1次田中内閣が発足したのもこの年。そして、国連統計で東京の物価が世界一になったのもこの年だ。

また沖縄が返還され、沖縄県が発足した年でもある。このことが、日本の音楽業界に大きな影響を与えることに当時は誰も気がついてはいなかったはずだ。

そうそう、有吉佐和子の「恍惚の人 (新潮文庫)」がベストセラーになった年でもある。もっとも、読むのなら「二十歳の原点 (新潮文庫) 高野悦子」の方をお勧めするけれど、現在の老人社会を考えると、1972年に「恍惚の人」を書いた有吉佐和子はある意味凄いということになる。

つまりは、いろんなことが起きた年というよりは、1972年はいろんなことが始まった年なのかもしれない。

コメント 停止中