三つ子の魂百まで、石原裕次郎と加山雄三

いや、3歳だったというわけじゃないけれど、子供の頃の話。祖母が好きだったのでチャンバラ映画を見によく連れて行かれた。東京の下町の映画館だったから3本立てが当たり前の頃の話だ。

大友柳太朗の丹下左膳と市川雷蔵の眠狂四郎。同じ映画館で、小林旭や石原裕次郎も見た。東映や日活の映画だ。

見たという記憶だけしか残っていないものの方が多いのだが、それでも映画の中のシーンを覚えている。(横浜日本郵船ビルの前?で)小林旭が電話ボックスから電話をかけるカットや石原裕次郎がニューグランドへ入る二谷英明と浅岡ルリ子を見つめるカット。その映像の向こう側にあるニュアンスを子供であった自分にはわかるはずもないのに、それでも忘れずに覚えている。

石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男」を見てきた後に、「おいらはドラマー やくざなドラマー…」とか歌っていたと叔母に何度も聞かされたくらいだから、子供であった自分にも石原裕次郎は格好よかったのだろう。

それでも、太陽に吠えろとか西武警察とかはほとんど観ていないから、自分が好きな石原裕次郎は映画館のスクリーンの中だけだったということかもしれない。

子供だったころには解らなかったが(って当たり前か)、石原裕次郎の映画の魅力はストイックさにある。リリカルなほどのストイックさが映画の全編を支配しているのが、見る側に伝わってくるのがいい。

たとえば、「赤いハンカチ」の中で玲子(浅丘ルリ子)が三上(石原裕次郎)に会いにいき、靴を脱ぐカット。あのワンカットにすべてがあると言ってもいいくらい、リリカルなシーンであり、裕次郎映画のストイックさを表現していると思う。

テレビでは石原裕次郎のそういった格好よさは表現できなかったろうと思う。日活映画だったから石原裕次郎は格好よかったのだと思う。

それから何年かした後には、今度は叔母に連れられて、新宿東宝へ円谷プロの特撮映画と加山雄三の若大将シリーズの2本立てを何回か観に行った。「銀座の若大将」「日本一の若大将」「ハワイの若大将」「海の若大将」「エレキの若大将」「アルプスの若大将」「南太平洋の若大将」「ゴー!ゴー!若大将」「リオの若大将」「フレシュマン若大将」と10作品を観た。観ていないのは最初の「大学の若大将」と「ニュージーランドの若大将」以降の作品。

加山雄三の若大将は子供心にもとんでもなく格好よく映り、円谷プロの特撮映画よりも若大将シリーズの方が好きだった。で、加山雄三と言えば、映画ばかりではなく歌手でもあったわけで、自分の音楽に対する興味の原点は加山雄三だったと言えるかもしれない。

加山雄三

加山雄三

あの頃、街中に溢れていたのは歌謡曲で、加山雄三の歌う楽曲はどれも新鮮に聞こえた。もっとも、澄ちゃん(星由里子)に初めて聴かせたはずの「君といつまでも」を二人で歌っていても不思議に思わなかったのだから、やっぱり子供だったのだろう。

で、上の画像は「加山雄三グレイテストヒッツ 〜アビーロード・マスタリングス – 加山雄三」。レコード・デビュー40周年を記念して、ロンドンのアビーロード・スタジオでリマスタリングしたベスト盤。

なんで、アビーロード・スタジオなのかはさておき、グレイテストヒッツと呼ぶにふさわしい楽曲の数々。まあ、映画の中の若大将を思い出すには十分な盤になっていると思う。

それから、やっぱり後になって思うことだけど(って、今とは違う、あの頃の子供では解らなくて当たり前だろうけど)、加山雄三の楽曲は岩谷時子の作詞とセットになることで倍以上の魅力を持った作品になっていたということ。その意味では、東宝だったから加山雄三の魅力を引き出せたとも言えるだろう。もっとも、ブラック・サンド・ビーチはインストだけど名曲だよね。

ところで、「赤いハンカチ」「銀座の恋の物語」「夜霧よ今夜も有難う」など、石原裕次郎の歌もいい楽曲が多いのだが、後ろのオケがもう完全に懐メロで、しかもゴージャスというのとは違う山盛り感のあるオケだから、CDを聴こうという気にはなかなかなれないのだけど、「ベストヒット20」は、売り上げランキング順に20曲収録という企画アルバムで、映画の中の石原裕次郎の歴史を1枚でたどれるベスト盤。

Amazonで見つけたのだが(ってリンクをとり忘れた)、2010年に発売された加山雄三の「若大将50年!」というCDには「夜霧よ今夜も有難う(作詞・作曲:浜口庫之助 編曲:鳥山雄司)」が収録されている。残念ながらというか、やっぱり弾厚作/岩谷時子じゃないとダメなのか、全然別物になっている。石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」ではないのは当たり前として、編曲:鳥山雄司でも加山雄三ではないという感じ。

さておき、自分の音楽的趣味嗜好がごった煮的なのは、子供の頃に観た石原裕次郎の映画と加山雄三の若大将シリーズが原点だったからだと思う。加山雄三の歌を聴くたびに、染み染みそう思う。

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  • コメント (1)
    • iACJB
    • 2012年 2月28日

    こんばんわ。
    大友龍太郎や市川雷蔵・・・Skynetさん、お年はいかほどで?

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