60年代カウンター・カルチャーの幻想と現実、Woodstock

以前、自然と平和と歌を愛し、人間として自由に生きるというスタイルを提唱したヒッピー文化(フラワームーブメント)を象徴し、60年代カウンターカルチャーの代表みたいに言われているJefferson Airplaneのヒット曲「Somebody to love」をタイトルに記事を書いたが、60年代カウンター・カルチャーの幻想と現実を照査するためには、って誰がそんなことをしているのか?というのはさておき、Woodstockの話をしよう。

Woodstock

Woodstock

普通、Woodstockといえば、1969年8月15日から17日までの3日間、アメリカ合衆国ニューヨーク州サリバン郡ベセルで開かれたWoodstock Music and Art Festivalのことで、音楽イベントとしてのみならず人間性回復のための集会でもあったわけだけど、日本に於いてはレコード(CD)や映画(DVD)などでしかその状況に接することができなかったから、野外コンサートとしてしか捉えていなかった。

とは言うものの、1970年7月25日に公開された「ウッドストック~愛と平和と音楽の3日間~ 」の劇場試写会?で観た記憶の断片と、その後も何度か観たビデオやDVDの映像を思い起こせば、この映画は観客を主体に、カウンターカルチャーという時代の側面を客観的な視点から撮られたドキュメンタリーだったことに気づく。

つまりは、Woodstockというのはある時点から、例えばチケットが18万枚も売れてしまった時点から、単なるヒッピーの集会からヒストリカルなイベントへと変貌した、あるいは昇華させようとする意思が働いたのではないかと想像できる。

もっとも、「Somebody to love」の記事の最後に書いたように、すでにWoodstockの前年、1968年7月5日にアメリカは大きな希望を失くしていたわけだから、Woodstockはヒッピー幻想が生み出したロマンチックな「伝説」なのかもしれない。

結局のところ、公開時の映像にはなかったパフォーマンスをレコードやCDで聴いてしまえば、やはりそこにあるのは音楽で、日本にいる身にはそれ以上でもそれ以下でもなかった。

と、言い切ってはみたものの、Woodstockでの音楽の話をするのはとても難しい。個人的には、1999年にリリースされたJimi Hendrixの「Live at Woodstock」が、当時の演奏ほぼすべてを収録していることがとても嬉しかったりしたわけだけど、デビュー前のSantanaの演奏や、Ten Years AfterのというよりもAlvin LeeのGoing Homeも外せない。

Jimi Hendrix

Jimi Hendrix

なので、Woodstockに出演し、映画「ウッドストック~愛と平和と音楽の3日間~ 」のオープニング(Long Time Gone)とエンディング(Woodstock)で曲が使われていた(ってそれ以外にも使われていたけど)、ある意味でこのWoodstockを象徴するグループのひとつ、Crosby, Stills, Nash & Youngの話をしよう。

Joni Mitchell

Joni Mitchell

映画のエンディングにも使われた「Woodstock」はJoni Mitchellの作品(Ladies of the Canyon – Joni Mitchell(1970)に収録されている)だが、テレビ出演があったために、Joni MitchellはWoodstockには出演していない。それはさておき、映画のエンディングで使われたことで印象深いが、25周年とか40周年とか何度かリリースされているWoodstockのCDのセットリストには、Crosby, Stills, Nash & YoungのWoodstockは見当たらない。

Woodstockでの彼らの演奏で印象深いのは、Suite: Judy Blue Eyes(青い眼のジュディ)であり、興味深いのは、放射能に汚染された島から脱出するというストーリーのWooden ShipsがこのWoodstockで演奏されたということだろう。

体制から逃れ、自然と平和と歌を愛し、人間として自由に生きるというスタイルを提唱し、ある種の理想郷を作り上げようとした60年代カウンター・カルチャーの幻想と現実を踏まえれば、現実社会から逃げ出すしかないということだったのかもしれない。

Deja Vu

Deja Vu

さておき、実際に楽曲として「Woodstock」を聴いたのは、1970年にリリースされた「Deja Vu」で、ということになる。つまりは、映画「ウッドストック~愛と平和と音楽の3日間~ 」の公開と同じ年だったということだ。

1970年、日本では大阪万博が開催された年。また、8月には初めての歩行者天国が実施された年でもある。よど号ハイジャックや三島由紀夫の割腹自決も同じ1970年。

音楽的には、Beatlesが解散した年であり、Woodstockの影響を受けたであろう「自然と音楽の2日間、’70全日本フォークジャンボリー」が中津川で開催された年でもある。

日比谷の野音ならともかく、岐阜の椛の湖畔でのコンサートに行ったという同級生がいて、当然のようにコンサートのライブレコード盤を持っていて、それを借りて聴くことができたのは、今思うととても貴重な体験だった。

閑話休題、Crosby, Stills, Nash & Youngの話に戻ろう。

Deja Vu – クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング」には、もう1曲、映画のエンディングに使われた曲がある。

小さな恋のメロディ [DVD]」のラストで「Teach Your Children」が使われている。Stephen Stillsが、Deja Vuの中でBestなのはこの曲と言ったとか?

この映画も試写会(虎ノ門のニッショーホールだったと記憶している)で観たのだが、BeeGeesの楽曲もさることながら、ラストシーンで流れた「Teach Your Children」は確かに印象深い楽曲だった。

そして、エンディングではないが、映画「いちご白書(Strawberry Statement)」の中で、学生たちが機動隊に包囲されたシーンで「Helpless」が使われていた(この映画は試写会に行けず(理由は覚えていない)、後になってビデオで観た)。

こうしてみると、「Deja Vu」というアルバムは、バラエティに富んだ楽曲の集合体であると同時に、60年代カウンター・カルチャーの幻想と現実を表現した傑作と評してもおかしくない。もちろん、他の楽曲すべてにおいても、音楽的な完成度の高さも十分に感じる。必聴盤のひとつだろう。

さらに付け加えるなら、1970年の6月2日から7日、6月26日から28日、7月5日のライブステージから収録され、翌年1971年にリリースされた2枚組のライブアルバム「4 Way Street」も必聴盤としてあげておきたい。

4way street

4way street

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